春は、別れと出会いの時期。
事務所に新卒のメンバーを迎え、爽やかで初々しい雰囲気にあふれています。
何よりも「建築が好き」と素直で、キラキラした目が眩しい。もちろん私も、建築は好きだけど。
私が設計事務所に勤めはじめた頃、どんな目をしていたのだろう、と思います。
この春、私にとって、とても大きな存在の人を亡くしました。
心の中に空いたぽっかりとした穴は、未だ続いたままです。
初めてお会いしたのは、2005年夏。
建築について無防備だった私は、設計事務所に初めて足を踏み入れ、洋書に囲まれた打合せテーブルで建築について色々と話しました。「建築は社会に価値を生み出す」といった青臭いことを話した記憶がありますが(大かれ少なかれ今もそう思っている)、その場で採用、働きはじめました。
そこから続く、厳しいスタッフ時代。
会社員という環境に慣れ受け身だった私は、本当によく叱られましたが、設計の楽しさや素直に向き合う姿勢は、逃げ場のない状況だったからこそ自身で発見できた気がします。
そして何よりも、100%真剣に向き合う姿勢、全力投球で「今を生きる」ことを、身近に感じていたと思います。
多くの時間を共有する事務所の中では、とても人間くさい人でした。ときには苛立ち、ときには涙もろく、でも創り出す建築のように美しく、格好のいい生き方の人でした。
ふと、思います。
こんな想いを、私は今いっしょに働く、自分のスタッフと共有できているのだろうか、
長い濃密な時間を、充実して過ごしているのだろうか、と。
私たちスタッフに、多くを残してくれました。
生山所長。 本当にありがとうございました。
そして、さようなら。
また、お会いしましょう。