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21st
Jun ‘09

ヴェネツィア

大阪・天保山のサントリーミュージアムで開催中の、『安藤忠雄建築展2009 対決。水の都 大阪vsベニス』に行ってきました。私にとって安藤忠雄さんは、建築をやりはじめるにあたって大きな影響を与えた方です。
会場には、大阪・中之島界隈の大きな模型が展示され、今自分が生活しているエリアを俯瞰できるのは実におもしろい。そして、最近竣工したイタリア・ベニスのプロジェクトを紹介しながら、ベニスの街の模型もあり、同じ水都といえども、都市や文化の違いを浮き彫りにしていました。
ベニス…ヴェネツィア(こう書いたほうが、この街の雰囲気にあいますね)を、今冬に訪れたときのこと。やはり本当に美しい街です。
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霧のたちこめる朝、対岸沿いの教会が海面に幻想的に現れてきたこと、かつての繁栄を彷彿させる様式の建物、運河や迷路のような路地を歩きまわる楽しさ、静かな中で聞く水の音など、冬の水都の冷たさを肌で感じながらも、その魅力をたっぷりと味わいました。
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でも、一番印象に残っているのは、街の美しさよりも、この街で暮らす人々です。
車が乗り入れることのないヴェネツィアでは、ヴァポレットという水上バスをつかって移動するのですが、これは生活路線そのもの。朝まだ日が昇らないうちに乗ると、学校に行く子供たちの姿、仕事に行く姿、新聞や食料品を運ぶ姿、昼間は買い物袋を持つ姿などなど、観光だけでは見えない“顔”を見ることができます。
この人たちの表情を見ていると、このような歴史のある街で暮らすということの誇りとか、ゆったりと“水”という環境や育まれてきた文化を受け止め、静かに大切に生活をしている“豊かさ”みたいなものを感じました。
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安藤忠雄さん設計の改修中現場 プンタ・デラ・ドガーナ再生計画

AUTHOR : さかきばら