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7th
Apr ‘16

この春

sakura

春は、別れと出会いの時期。

 

事務所に新卒のメンバーを迎え、爽やかで初々しい雰囲気にあふれています。

何よりも「建築が好き」と素直で、キラキラした目が眩しい。もちろん私も、建築は好きだけど。

 

私が設計事務所に勤めはじめた頃、どんな目をしていたのだろう、と思います。

 

この春、私にとって、とても大きな存在の人を亡くしました。

心の中に空いたぽっかりとした穴は、未だ続いたままです。

 

初めてお会いしたのは、2005年夏。

 

建築について無防備だった私は、設計事務所に初めて足を踏み入れ、洋書に囲まれた打合せテーブルで建築について色々と話しました。「建築は社会に価値を生み出す」といった青臭いことを話した記憶がありますが(大かれ少なかれ今もそう思っている)、その場で採用、働きはじめました。

 

そこから続く、厳しいスタッフ時代。

会社員という環境に慣れ受け身だった私は、本当によく叱られましたが、設計の楽しさや素直に向き合う姿勢は、逃げ場のない状況だったからこそ自身で発見できた気がします。

そして何よりも、100%真剣に向き合う姿勢、全力投球で「今を生きる」ことを、身近に感じていたと思います。

 

多くの時間を共有する事務所の中では、とても人間くさい人でした。ときには苛立ち、ときには涙もろく、でも創り出す建築のように美しく、格好のいい生き方の人でした。

 

ふと、思います。

こんな想いを、私は今いっしょに働く、自分のスタッフと共有できているのだろうか、

長い濃密な時間を、充実して過ごしているのだろうか、と。

 

私たちスタッフに、多くを残してくれました。

 

生山所長。 本当にありがとうございました。

そして、さようなら。

 

また、お会いしましょう。

 

 

 

AUTHOR : さかきばら